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あけぼの・経営ニュース

vol.378 取引先社長との観光旅行

 もうすぐ桜の開花がありそうですね。ずいぶん昼間も暖かくなり、華やいできた感があります。外でゆっくり桜を楽しみたいものですね。

 さて、今回は、会社の社長が取引先の社長と行う観光旅行費用を、会社が負担した場合の取扱いについて書かせていただきます。

 仮に、A社長(A社)が、売上高のかなりの割合を占める得意先のB社長から誘われて、二人で海外旅行を行うとします。そして、その費用は各自がそれぞれ負担するとします。

 A社長としては、B社長との今後の取引の維持・拡大のために、社長同士の親睦を一層深めておくことは重要なので、今回の旅行費用をA社の交際費等として処理したいと考えました。この場合、旅行費用は交際費として認められるのでしょうか?

 まず、法人が支出する海外渡航費用が交際費とされる場合は、その海外渡航が法人の業務の遂行上必要なものであることが前提となります。そして、その海外渡航が法人の業務の遂行上必要なものかどうかは、その旅行の目的、旅行先、旅行経路、旅行期間等を総合勘案して実質的に判定するものとされています。たとえば工場見学とか、現地企業との合同会議とかの活動がなく、単に観光目的と認められる旅行は、原則として法人の業務の遂行上必要な海外渡航には該当しない、とされるのです。

 法人の業務の遂行上必要と認められない旅行部分について、会社がその費用を負担すると、個人的費用を会社が負担したことになりますので、その旅行者(A社長)に対する給与として取り扱われ、役員に対する非定期給与なので法人の損金処理は認められず、一方A社長の給与は増えますので、A社長の源泉所得税は増加してしまいます。

 A社としては、両社長の海外旅行を親睦や接待のためと考えていますが、A社長及びB社長の2名の旅行費用はそれぞれ「各自負担」であり、実態としては、取引関係がある会社の社長同士のプライベート旅行と考えられ、しかもその旅行内容が、ゴルフや観光を目的としていれば、たとえその観光の合間に商談や相互の接待等が行われたとしても、それだけではその観光旅行が法人の業務の遂行上必要な旅行に該当するとはいえないわけです。ところで、事業に関係のある者等を旅行や観劇に招待した場合、交際費等とされる規定がありますが、この規定に合致するためには、A社長がB社長の旅行費用もすべて負担し、かつ「観光」することの合理的な招待理由が必要になります。税務署を納得させるハードルは、かなり高いと言えます。

2015年3月20日号(378号)

 このページは、佐藤典哉税理士事務所・株式会社あけぼの会計様が発行されている『あけぼの・経営ニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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