vol.362 経営は「率」ではなく「額」
関東地方は今日にでも梅雨明けになりそうです。これから暑い日が続きますね。
ここ茨城県筑西市では、これから毎週のようにお祭りがあります。普段は静かな町に活気が増し、たくさんの観光客がやってきます。短い夏を楽しみたいですね。
さて、今回は、経営は「率」ではなく「額」、というテーマで書かせていただきます。ご存知のように売上高から変動費を引いた残りが粗利益ですね。一方、変動費は材料費や仕入高、外注費などです。
売上 | 変動費 | |
粗 利 益 | 固定費 | |
利益 |
会社で利益が出るかどうかは、この粗利益と固定費の背比べで気決まりますので、粗利益より固定費の方が少なければ黒字ですし、逆に粗利益より固定費の方が多ければ赤字となります。
ここでの注目点は、まず売上ではなく粗利益が大事であるということです。図をご覧いただければわかるように、どんなに売上高があっても変動費の面積が多く、その結果、粗利益の面積が少なければ、固定費との背比べに勝てないからです。
そして、もう一つの注目点は、経営は「率」ではなく「額」であるということです。1000万円の1%は10万円ですが、100万円の5%は5万円です。売上が1%増えるより5%増えた方がいいように感じますが、元の数字の大小によって結果は異なります。100万円だった交際費が10%増えても110万円ですが、1000万円だった広告宣伝費が3%増えたら1030万円と、20万円も多い支出になります。
粗利益「額」で考えてみると、売値300円で原価率30%のかけうどんの粗利益額は210円で、100杯売れれば21000円ですが、売値1500円の原価率40%の豪華うどんの粗利益額は900円で24杯売れれば21600円です。「額」があれば4分の1の販売数量で同じ粗利益額を稼ぎ出すことができます。
たとえば、「値引き」は売上高を減らす行為ではなく、粗利益額そのものを減らす行為であるであることも、図を見れば明らかです。
経営を「率」ではなく「額」で判断するためには、実は上記のような図が有効です。
毎月の月次決算書から上記の図(未来会計図といいます)を作成し、ビジュアルに見ることによって、いかにして粗利益額の面積を大きくできるか、固定費の面積を小さくできるかを、行動予定とその結果という形で検討することができます。
毎月の月次決算書では、実は細かい数字にこだわる必要はありません。
一番大事なのは全体の数字をなるべく早く知って、次の対策に充てることです。
2014年7月20日号(362号)
このページは、佐藤典哉税理士事務所・株式会社あけぼの会計様が発行されている『あけぼの・経営ニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。