vol.317 国税局の査察の状況
こんにちは。
毎日うだるような暑さですね。今日から数日間は過ごしやすい日々が続くようですが、また来週から猛暑が戻ってくるようです。
今回は、この原稿をお読みの方には無縁ですが、先日国税庁が平成23年分の査察(いわゆる税務署の調査ではなく、悪質事案に対して令状を持って行う国税局の強制捜査ですね)状況を発表いたしましたので、気晴らしにお読みいただければと存じます。
<平成23年度査察の概要>
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- 着手・処理・告発件数、告発率の状況
- [1]平成23年度の着手件数195件、うち検察庁に告発した件数117件、告発率は約60%、[2]脱税総額192億円、うち告発分は157億円、告発事案1件当たりの脱税額、平均1億3、400万円、[3]告発事案で多かった業種は、「建設業」、「商品・株式取引」、「人材派遣業」。不動産業が減少し「食料卸」や「情報提供サービス」での告発が目立った。
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- 脱税の手段・方法
- [1]売上除外や架空の原価・経費の計上、課税仕入に該当しない人件費を外注費に仮装 [2]国内のFX取引を英領ヴァージン諸島の法人の取引に仮装した上、得た資金をシンガポールに送金留保、[3]フランスの取引先への貸付金を支払手数料に仮装、ベトナムヘの中古農機具輸出業者が、架空の輸出免税売上や架空仕入で消費税を不正還付
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- 不正資金の留保状況及び隠匿場所
- [1]銀行の貸金庫、[2]香港の預金口座、[3]金地金、[4]無記名割引債券、[5]土蔵床下で保管(現金・金地金)、[6]衣装ケースの衣服に包んで保管(現金)、[7]都心の高級マンション、高級外車、貴金属や皮革製品の購入、海外カジノで遊興など。
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- 動員人数及び調査期間
- [1]1事件当たり着手日に延154名を動員、43箇所を調査、[2]1事件当たり着手から告発まで8か月
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- 判決
- 平成23年度中の一審判決件数150件で全て有罪、実刑は9人。うち最も重いものは懲役2年6月。
*脱税が発覚するといわゆる本税のほか過少申告加算税や重加算税がかかり、かつこれらの支出はいわゆる必要経費には認められません(当たり前ですね)。社長の公私混同も社内外に知れ渡り、社員のやる気を喪失させ、取引先の信用も失ってしまいます。
何とも悲惨な結果が待っているわけですね。
2012年7月20日号(317号)
文中、[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] の部分の原文は、それぞれ○付きの数字です。
このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。