vol.327 年の中途で海外勤務となった者への給与等の源泉徴収
あけましておめでとうございます。
株価が上がっていますね。阿部政権はデフレ脱却のためあらゆる手を打つ覚悟のようですが、うまくいかないとさらなる借金で我が国が破綻する時期が迫ってしまいます。
うまくいくといいですね。
さて、この年末年始では発展目覚ましい東南アジアに進出している企業についてのTV番組が多かったような気がします。ここ茨城県県西地域でも、すでに進出、或いは進出を計画している企業が増えてまいりました。そこで、今回は「年の中途で海外勤務となった者に対する給与等の源泉徴収」について書かせていただきます。
例えば、自社の社員が海外の支店に勤務するため3年間の予定で平成25年5月16日に出国するとします。 そしてこの社員に5月25日に給与を支払い、6月と12月には賞与を支払うとします。給与締めは、当月21日から翌月20日までで、支給日は毎月25日、また、6月支給の賞与は前年11月1日から4月30日まで、12月支給の賞与は5月1日から10月31日の期間をその支給対象期間とします。
まず5月25日に支払う給与ですが、この社員は非居住者となるわけですので、その給与の計算期間が1月以下であり、かつ、その給与等の全額が国内において行った勤務に対応するものではないため、所得税の源泉徴収をする必要はありません。
また、6月に支給する賞与については、その全期間が国内勤務に対応するものとなりますので、支払の際に所得税を源泉徴収する必要があります。
一方、12月に支給する賞与については国内勤務に対応する日数は16日ですので、支給する賞与のうち<16日÷184日分=8.695%>が国内勤務分となり、総支給額の8.695%分はその支払の際に源泉徴収する必要があります。
ちなみに居住者と非居住者の区分は以下の通りとなります。
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居住者→国内に住所あり、または国内に1年以上住んでいる者
- 非永住者→日本国籍なし、かつ過去10年以内で国内に住所または居所のあった期間の合計が5年以下の者
- 永住者→非永住者以外
- 非居住所→居住者以外
☆以前、武富士のオーナー親子間での贈与裁判がありました。贈与を受けた長男は香港に住んでおり、香港には相続税も贈与税もないので、もし非永住者であれば税金がかからないわけです。結果はご存じのように最高裁で国が負け、本人が払った贈与税1600億円に還付加算金を足して、国は2000億円を還付しました。
2013年1月5日号(327号)
このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。