vol.216 実質的な債務超過
こんにちは。
今年の梅雨入りは早かったですね。例年ですと気象庁が梅雨入り宣言をすると、晴天が続くという展開でしたが、今年は梅雨らしい天候が続いています。
さて、今回は「実質的な債務超過」について書かせていただきます。
ご存知のように、資産総額から負債総額を差し引いた金額がマイナスになると債務超過ということになります。毎月の貸借対照表を見れば自社が債務超過かどうかは一目瞭然ですね。でも、ちょっとお考え下さい。自社の貸借対照表に載っている資産の金額って帳簿価額(買った時の金額)ですよね。ところが実際の会社の「実力」は、今現在の時価によってわかるわけです。したがって、自社の財産債務の状態が「健全」であるかどうかは、貸借対照表を時価で引きなおしたときに初めてわかります。
資産の中には何が含まれているのでしょうか?帳簿価額を時価に引きなおす際のポイントは以下のとおりです。
- 売掛金=貸し倒れのリスクのあるものは回収できる金額に直します
- 棚卸資産=不良在庫は0円、値引きしなければ売れないものは実際に売れる金額
- 有価証券=上場株などは現在の取引価格
- 不動産=実際に売れる金額(大体でも結構です)
- リース資産=途中解約できないので、リース期間中は資産として追加
- ゴルフ会員権=実際に売れる金額
負債として計上されている金額はそのままですが、以下のものを増減します。
- リース残債=途中解約の際には残債全額を支払わなくてはならないものであり、いわゆる「隠れ借金」になりますので「リース負債」として追加
- 役員借入金=役員への返済が免除可能なら減額
仮に社長に万が一のことがあり会社の経営継続が困難となった際には、この本当の数字のみで会社を解散しなければならなくなります。さらに日本の会計も時価会計の流れにあります。今のうちにチェックをし、健全な経営を目指しましょう。
2008年6月5日号(216号)
このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。