vol.222 インターネット売買における領収書の発行と印紙税の負担
こんにちは。
ここ数日は突然嵐のように大雨が降ったり、また急に寒くなったりと天候が安定しません。傘の常備や暑さ寒さ対策など、しばらくの間は気をつけたいものです。
さて、今回は「インターネット売買における領収書の発行と印紙税の負担」について書かせていただきます。
最近はネット経由での取引も活発となり、特に筆者の住むような茨城県県西地区では、不利な立地を補うという面でも力を入れておられる経営者も多いようです。
【質問】
インターネット売買で見かけるケースとして領収書を発行しない場合や、別途領収書を発行するときは印紙代を顧客に負担させるケースもあるようですが、これらは合法的なのでしょうか?
【回答】
民法486条は、「弁済をした者(売買代金を払った人)は、弁済を受領した者(売買代金をもらった人)に対して受取証書の交付(要するに領収証の発行ですね)を請求することができる。」と規定しています。 したがって、ネット販売事業者であっても受取証書の交付を拒むことはできません。
また印紙税法は、課税文書の「作成者は、その作成した課税文書につき、印紙税を納める義務がある。」と規定しており、この規定の適用に関し、銀行振込みに係る領収書の作成者を除外する規定は定めておりません。したがって、銀行振込みであっても同項が適用され、領収証の作成者は印紙税の納税義務を負うことになります。
次に、印紙税を顧客の負担とすることができるかどうかについてですが、印紙税法では上記のように領収書の作成者が印紙税の納税義務を負うことと定められています。一方印紙税はその文書(領収書)に貼付することによって納付する税であり、その結果領収書に正しく印紙が貼付されていれば納税は完結し、その印紙が何人の負担によって購入されたかについてまで税法が介入することはないとも言えます。つまり商品の販売は経済取引であり、印紙税の負担を顧客の負担とすることも、顧客が納得する限りは差し支えないということのようです。
とは言え税務調査では、たとえば3万円以上の高額商品の販売数量と、自社で購入した印紙税の金額、枚数を比較することによって印紙税の納付漏れがないかどうかを確認したりしますので、誤解を受けないような注意も必要になります。
最後に、国税通則法は、例外的に印紙税の第三者納付も認めております。文書作成者以外の者が印紙税を負担してもOK、という条文もあります。ご参考までに。
2008年8月20日号(222号)
このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。