vol.223 平成20年改正により耐用年数の変更があった場合の減価償却計算
こんにちは。
大幅遅れのタックスニュースとなってしまいました。申し訳ありません。
福田首相の突然の退任表明により5人の自民党総裁候補者が乱立し、さまざまな政策を唱えております。その中で本命(と言われる)・麻生さんが証券税制の改正に触れておりますが、税理士である筆者から見ても複雑怪奇な現行税制です。もっと簡略化されてしかるべきですね。
さて、複雑怪奇な税制は実は証券税制だけではなく、減価償却資産の償却計算方法もきわめて分かりづらいものになってしまいました。
平成20年4月1日以後に開始する事業年度から「機械及び装置」の資産区分が390区分から55区分に整理され、また新しい法定耐用年数が適用されることになりました。この法定耐用年数が税制改正により変わった(異動があった)場合の取り扱いが今回明らかになりましたので、概略を書かせていただきます。
<ポイント>
- 資産の取得時期により2種類の償却率表を使い分けること。具体的には平成19年3月31日以前に取得したか平成19年4月1日以後に取得したかで、適用する償却率表が異なります。
- 平成20年4月1日以後に「開始」する事業年度(1年決算法人であれば平成21年3月31日以後の決算期)からは新しい耐用年数を使うが、平成19年3月31日以前に取得した資産については、この平成19年3月31日以前に取得した場合の償却率表の中で新しい耐用年数を使うこと。この表では「旧定額法の償却率」とか「旧定率法の償却率」というタイトルが付いておりますが、たとえば耐用年数が10年から8年に変更になった「定率法」の場合は、この「旧定率法の償却率」のなかで10年の償却率(0.206)から8年の償却率(0.250)に変わることになります。
- 償却額の累積額が取得価額の95%に達した場合、残った5%部分を1円に達するまで5年間で均等償却する、という平成19年度の改正はそのままで変更はありません。
- また、平成19年4月1日以後に取得した資産の償却方法も平成19年度の改正のままで変更はありません(こちらもまたややこしい)。
*偏りのない税制というのは大切ですが、計算があまり複雑になると利益算出や業績の予測に影響を与えます。計算誤りの追徴課税リスクもありますし、人件費だってかかります。ほどほどにしてほしいものです。
2008年9月5日号(223号)
このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。