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佐藤会計タックスニュース

vol.308 未払い役員給与のまとめ支給は、役員賞与?

 こんにちは。

 もうすぐ東日本大震災から1年がたとうとしています。

 たくさんの尊い命が失われ、多くの方々が避難され、経済的にも大変厳しい1年だったかと存じます。現在被災地の一部ではバブルの様相を呈している場所もあるということですが、日本全体でみれば落ち込んだ上場企業の景況悪化を受け、中小企業はいずこも業績低迷の真っただ中にあります。あと2~3年中に70%の確率で起こると言われている東京直下型地震が本当にあった場合、ある経済紙によれば、その復興のための臨時国債発行は今回の比ではなく膨大なものとなり、日本が破産する確率は70%以上になるということです。時間切れになる前に早く財政健全化を成し遂げて欲しいですね。

 さて、東日本大震災やタイの洪水により、多くの中小企業が主要得意先からの受注減という苦しみを味わいました。そのため、役員報酬のカット(定期同額給与の条件を確認しておく必要があります)や社員給与の減額などを行わざるを得ない企業も出てまいりました。また役員報酬そのものは減額せずとも、全額を支払う資金繰りがつかず未払金として負債の部に積み上がっている企業も少なくないようです。

 ところで、役員報酬の未払い金を、夏と冬にまとめて支払ったら、その分は役員給与の未払い金ではなく役員賞与(損金になりませんね)だと認定された判例があります。

裁決/国税不服審判所
【裁決年月日】  平成 1年 6月17日
【裁決事項】 未払金が実質的に役員賞与とされた事例。
【裁決要旨】 未払金が役員報酬か賞与かについて、法人税法上役員に支給された給与が、報酬となるか賞与となるかは、実際に支給される給与が定期的な給与か、臨時的な給与かという支給の形態ないし外形によって判断すべきところであるが、〔1〕役員報酬について、あらかじめ定められた支給基準に基づいて定時にその全額を支払うことができないとする特段の事情もないこと、〔2〕毎月の役員報酬の一部を未払金とし、その額をおおむね盆、暮れの従業員に対する賞与の支給期に支払っていること、〔3〕賞与の支給期に支払った金額は、未払金残高を超える金額であることから、未払金勘定に赤字が生じているが、その赤字の金額を各事業年度の期末においては、その残高がちょうど零円となるように、その後の役員報酬の未払金で補てんしていること等から判断すると、その未払金は、当初から役員賞与として支給すべきものを形式的に定期の給与にしたものにすぎず、未払金は、実質的に役員賞与であったということができる。

 *役員給与が支給できない合理的な理由と議事録などの証拠書類も必要ですね。

2012年3月5日号(308号)

 このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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