筑西市ナビ「ちくナビ!」

筑西市ナビ 「ちくナビ!」

佐藤会計タックスニュース

vol.309 全額損金のがん保険がなくなります

 こんにちは。

 今年は春一番がありませんでしたね。北風でなく南風でないと春一番にはならないということでした。ワシントンではすでに桜が満開というニュースもありましたが、日本の春はいつになるのでしょうか?

 さて、全額を損金に算入できるがん保険の取り扱いが変更されます。

 例えば社長様を被保険者とする法人契約のがん保険は、従来その保険料の全額を損金に算入することができましたが、今後は2分の1損金算入、すなわち残りの2分の1は経費扱いされず積立金のような資産計上処理を強制される見込みです。

 全額が損金になるということは、将来解約するときに戻ってくる解約返戻金の大小で、節税効果(税の繰り延べ効果)の良しあしが変わってきます。

 たとえば、被保険者が40歳男性の場合、I生命では契約開始3年目で解約返戻金の返戻率が81.1%、5年目で84.9%、20年目で88.5%です。

 同じくG生命ですと契約開始3年目で解約返戻金の返戻率が73.8%、5年目で85.9%、20年目で95.0%、M生命では契約開始3年目で解約返戻金の返戻率が77.8%、5年目で87.2%、20年目で98.5%です。

 法人税や法人住民税を合わせた実効税率は40%程度になりますので、例えば5年後には単純に85%程度は戻ってくる上に、毎年黒字決算を組めるのであれば節税額を含めた返戻率は141%にもなります。もちろん保険ですから被保険者ががんになった場合には、保険金が支払われます。

 ところで、この全額損金の廃止の取り扱いは、国税庁がパブリックコメント(意見募集ですね)を募集し、その期間が終わったのちに新たな取り扱いが発遣される予定です。では従来の契約や法律改正日までに契約が終わっているものはどうなるのでしょうか?

 結論から言えば、発遣日(3月30日になるのか、または4月のいつごろになるのかはわかりません)が法律改正日となる可能性が高く、その日までの契約は今後も全額損金算入が認められる可能性が高いです。なぜなら過去の逓増定期保険や相続税法24条の場合、発遣日が改正日とされており、遡って法律の効果を適用しなかったからです。

 月払いの保険契約日は翌月1日となるのが一般的ですので、発遣日が3月中となった場合は間に合いませんが、年払いや半年払いであれば支払った日で契約締結になりえますので、まだ間に合います。またもし、遡って法律を適用する(法治国家では、あってはならないことです)ようなことがあったら、1か月で解約すれば残り11か月分の保険料は戻ってきます。納税コストを下げながらお金をためておくことは大切ですね。

2012年3月20日号(309号)

 このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

このページのトップに戻る