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佐藤会計タックスニュース

vol.318 中小企業金融円滑化法の「出口」

 こんにちは。

 毎日暑いですね。「暑い、暑い」と口に出すと、何やら否定的な気持ちになりがちです。「夏だから暑いのは当たり前、あっという間に9月がやってくる」と思えば、毎日の暑さを肯定的に考えられる(私だけかも・・)と思います。ともかく毎日水分を欠かさず、熱中症にならないように気を付けましょう。

 さて、来年3月に金融円滑化法の期限が到来しますので、簡単に説明をさせていただきたいと思います。

 この金融円滑化法は、中小企業が金融機関に対し借入金の返済猶予を申し出た場合、その金融機関は原則その申し入れを受けなければならない、というものです。亀井静香元大臣が旗振り役となって成立した法案ですので、亀井法案とかモラトリアム(=支払い猶予)法案とか言われています。そしてその実績は、昨年末時点で、累計150万件、金額で51兆円という膨大なものになりました。また貸し手側も昨年9月末時点で地方銀行45%と信用金庫34%、合わせて79%が地域の金融機関となりました。

 本来中小企業は、この円滑化法の適用を受けて返済を縮小、または止めている間に、事業再生を図り正常な経営状態に戻ることが予定されておりました。しかしながら今なお全国の法人の75%超が赤字であり、赤字率はむしろ増加傾向にあります。

 この円滑化法の期限切れにより、それまで「通常先」「要注意先」などにランク付けされていた多くの企業が、本来の低い格付けである「要管理先」「破綻懸念先」に戻ることが予想されています。格付けが下がるということは、企業側から言えば今の返済猶予の継続を受けられなくなる、そして銀行側から言えば、貸倒引当金の積み増しをしなければならなくなる、ということです。正確にはわかりませんが、銀行は破綻懸念先に対しては70%以上の貸倒引当金を積まなくてはならないようですので、例えば3千万円を金利3%で貸した場合、1年間の銀行側の粗利は約90万円ですが、同時に70%、すなわち2100万円の貸倒引当金を積まなければならなくなります。この70%は貸出先がいつ倒産して貸し倒れになってもいいように準備しておくお金ですので、言わば90万円の利益を上げるために経費が2100万円かかるということです。

 国もいろいろと出口戦略を考えているようですが、今までのエコカー補助金やエコポイントなどのように、国の経済活性化策はしょせん税金を投入してその場しのぎをするだけであり、それら制度が終われば必ず反動が来て業界に不況がやってきます。

 基本は何と言っても社長の経営改善に対する意欲です。まず、本気で経営改善をしたいと思い、かつ実行することです。実行しないことには結果はついてきません。

2012年8月5日号(318号)

 このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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