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佐藤会計タックスニュース

vol.324 設立1期の中途から支給開始した役員給与

 こんにちは。

 日本人は我慢強い性格なのか、それともお人よしなのか、毎年のように民意を問うとか言われても、毎回律儀に選挙に行っています(私もそうです)。政治家のセンセがたが目先の甘ーいことを言っても、結果が出る前にまた選挙になってしまうので、結局言いっぱなしになります。大体、いまどき解散が決まって万歳三唱なんて、国民というお客様に対する意識はかけらも見られません。選挙は就活の場でしかないと、ホントに思ってるかもしれませんね。あー腹が立つ。

Q:設立1期目の年度中途から支給開始した役員給与は損金になりますか?
 たとえば本年7月に設立したばかりの同族会社が、まだ業務に必要な免許が取れないため売上もほとんどなく、営業許可が下りた後、実際の収支を見極めた上で役員給与月額を決定し、来年1月頃から支給開始した場合、その役員給与は定期同額給与として損金算入できるのでしょうか?

A:

  1.  定期同額給与とは、言わば毎月同額を支給するものです。したがって定期給与が年中途において改定された場合は、次のいずれかに該当する場合に限り、改定前と改定後のそれぞれの定期給与が定期同額給与に該当するものとして取り扱われます。
    1. 当該事業年度開始から3月を経過する日までに改定。
    2. 役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更等の、いわゆる臨時改定。
    3. 経営の状況が著しく悪化したこと等の業績悪化事由による改定(減額改定に限る。)
  2.  ところで、会社と役員との関係は委任契約関係とされており(会社法330)、その委任契約とは、「会社(株主)が役員に対して会社の経営を委託し、役員がその職務執行の対価として報酬を得ることを約する契約」ですので、会社においては、役員が就任したときから報酬(役員給与)を支払う義務が生じます。したがって設立後最初の支給時期までには株主総会等において報酬額を決議する必要があります。儲けの状況や資金繰りを見てから、という理由は臨時改定事由、すなわち「役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情」に該当しませんので、増額支給は定期同額給与に該当せず、損金算入できないものと考えられます。

 新設法人では、経営の収支を見てから役員給与を決めたいというのは、会社の存続を図るうえで当然の判断と思いますが、税法は認めていません。不便ですね。

2012年11月20日号(324号)

 文中、a. b. c. の部分の原文は、それぞれ イ. ロ. ハ. です。

 このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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