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佐藤会計タックスニュース

vol.313 お金には色がついている

 こんにちは。

 昨日の金環日食は素晴らしかったですね。太陽が隠れていく様子や、温度の急激な低下を体感すると、われわれは宇宙の中のちっぽけな地球号に同居している仲間なんだな、と思えてきます。たまには日々の厳しい経営環境からいったん離れて、童心に帰って「宇宙」を楽しむことも大切だと感じますね。

 さて、今回は「お金には色がついている」という話をさせていただきます。

 例えば700円で仕入れた商品を1000円で売ると、利益は300円になるというのは当たり前の話ですよね。ところが、もし全額が売掛金で、しかもこの売掛先が業績不振で、売掛金をなかなか払ってくれないとしたらどうなるでしょうか?

 現金残高は仕入れ資金で支払った700円があるので▲700円となります。さらに集金できないままに決算期を迎えますと、利益300円に対して40%、すなわち120円の税金がかかります。加えてこの税金の50%の予定納税が翌期に60円かかってきます。つまり資金的には700円+120円+60円=880円の現金マイナスとなります。

 同様に7000万円で仕入れて1億円で売却できたが、仕入れ資金の支払い日は5月31日、売掛金の集金日は7月31日となる場合はいかがでしょうか?

 利益は3000万円ありますが、この会社は5月31日から7月31日までは、7000万円の現金マイナスの中で自社を経営していかなければなりません。仮に業績が順調で売上が倍になったら、この会社は仕入資金1億4千万円の現金マイナスに耐えうる財務体質でなければ資金が持たないことになります。このお金を銀行から借りても、会社の業績が伸びている限り資金は枯渇していきます。これは資金繰りの問題ではなく、「サイト負け」する自社の財務体質の問題です。したがって資金サイトの勝ち負けを見ながら対策を取っていく必要があります。

 資金会計理論では、出入りする現金をその性格によって「損益資金」と「その他資金」に区別します。右から左に出ていく「その他資金」と、利益が現金化した「損益資金」とでは、資金使途が異なります。この資金使途を誤ると、黒字倒産や資金の固定化による慢性的な資金不足に苦しむことになります。単に現金を増やすだけなら銀行から借りれば良いのですが、返済しなければならないお金は、金利というお土産をぶら下げて、いずれ手元からなくなっていきます。手元にある、たえず動いているお金の中から、自由に使える現金を見つけださなくてはなりません。

 事業の目的は利益を増やすことですが、手元にある自由に使える現金を増やすことが大切です。資金会計を知ることで、現金を増やす仕組みを知ることができます。

2012年5月20日号(313号)

 このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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