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佐藤会計タックスニュース

vol.315 役員退職金として与えるゴルフクラブ会員権

 こんにちは。

 今日は台風一過で晴れ渡り、真夏のようです。明日からはまた台風で雨模様という予報ですので、1日だけの晴天ですね。天災に備え、十分に準備をしておきましょう。

 さて、今回は「退任役員に役員退職金の一部としてゴルフクラブ会員権を与える場合」について考えてみます。

 ゴルフ人口の減少と預託金制度の破たんによって、ゴルフクラブ会員権の低迷が長引いています。簿価1千万円とか5百万円で買ったにもかかわらず、時価は10万円とか50万円程度というケースも多いのではないでしょうか?接待等でゴルフ会員権が相変わらず必要で、かつ会社も儲かっていれば、例えばこのゴルフ会員権1千万円を市場で売却し、すぐに50万円で再購入することで950万円の売却損を計上して節税をすることも可能ですが、赤字割合75%の現状ではなかなか難しいでしょう。最近ではゴルフ接待そのものが減っていますので、会社が年会費を支払う効果がないとお考えの方もいらっしゃるかと存じます。

 このような場合、ゴルフクラブ会員権を処分する一つの方法として、役員退職に合わせて現物支給するというやり方が考えられます。

 例えば先代社長が退任する際の退職金の一部現物支給として、ゴルフクラブ会員権を与えるのです。退職金が仮に3千万円として、これに上記の例でいえば1千万円の簿価のゴルフクラブ会員権を加えます。法人税法上、法人が行う有償又は無償による資産の譲渡による収益の額は、譲渡のときにおける価額(時価)によって計上します。法人が退任役員に対してゴルフクラブ会員権を与える行為は資産の譲渡に該当しますから、そのゴルフクラブ会員権の交付時の譲渡価額は時価(50万円)となります。

 したがって、法人は3千万円+50万円=3050万円の退職給与と、950万円の譲渡損失を計上することになります。キャッシュフローでいえば、資金流出は3千万円であるにも関わらず税務上の損金は4千万円(3050万円+950万円)計上でき、かつ使わないゴルフクラブ会員権を処分できるということです。

 役員退職金の資金を節税型の生命保険契約で積み上げてきており、解約すると大幅な特別利益が出る一方、退職金の損金算入限度額が特別利益の金額以下で最終利益が出てしまう場合などでは、たとえば解約による特別利益が3千万円、損金限度2千万円の場合、現金での退職金1950万円+ゴルフクラブ会員権50万円で2千万円の退職給与となり、同時に譲渡損失950万円を計上できますので、ほとんど納税することなく、しかも社内に1千万円の資金を残すことができます。戦術はやっぱり大事ですね。

2012年6月20日号(315号)

 このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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