vol.292 利益はどこへ消えた?
こんにちは。
毎日暑いですね。節電でエアコンの温度設定を上げている企業も多いでしょうから、熱中症にならないように気をつけましょう。
さて、今回は「利益はどこへ消えた?」というテーマで書かせていただきます。
たとえば、順調な経営を続け、当期利益が1千万円出たのに、手元にはろくにお金が残っておらず納税資金さえない、というケースは良く見られます。キャッシュフロー計算書は、当期利益がどのように現預金の残高の増減に反映されたかを、本業部分、投資部分、そして財務部分に分けて表したもので、大体の仕組みは以下のようになります。
(例)当期利益 1000万円(法人税ですと約400万円の納税が今後必要です)
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<営業活動>(本業部分ですね)
- 減価償却費を計上100万円→お金は出ない経費なので、資金は増+100万円
- 受取手形・売掛金の増400万円→未集金が増なので、資金は減-400円
- 支払手形・買掛金の増100万円→未払いが増なので、資金は増+100万円
- 棚卸資産の増200万円→売上にならずに在庫だけ増なので、資金は減-200万円
営業活動合計 -400万円
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<投資活動>
機械購入200万円→経費にならない資金支出なので、資金は減-200万円
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<財務活動>(借入や返済です)
借入金の返済200万円→経費にならない資金の支出なので、資金は減-200万円
期首現預金 100万円とすると・・・
期末現預金=期首現預金100万円+当期利益1000万円―営業活動キャッシュフロー400万円―投資活動200万円―財務活動200万円=期末現預金300万円(納税100万円不足)
キャッシュフロー計算書は、当期利益から現預金の残高を計算しますので、資金の増減は逆に考えます。利益を現預金の増加につなげるためには、貸借対照表を意識した経営が必要ですし、逆に利益がなくとも、たとえば売掛金の回収を早めることによって資金を増やすことは可能です。
2011年7月5日号(292号)
文中、1. 2. 3. 4. の部分の原文は、それぞれ○付きの数字です。
このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。