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佐藤会計タックスニュース

vol.257 離婚による財産分与と第二次納税義務

 こんにちは。

 大幅遅れのタックスニュースとなってしまいました。申し訳ありません。

 新聞、ニュースはオリンピックのフィギュアスケートの話題で持ちきりですが、その陰に「弁護士と公認会計士夫婦の脱税事件」というのがあったのをご存知ですか?

 これは東京地検特捜部に所得税法違反(脱税)の疑いで逮捕された弁護士が不動産取引で得た利益を隠すため、取引のたびに累積赤字を抱えた法人を買い取り、個人の所得をこれらの法人の利益に仮装するとともに、法人の利益も赤字で相殺していたというものです。この弁護士と元妻(公認会計士)は、2005年までの2年間に不動産取引の利益約20億7200万円をダミー会社計約10社の所得に仮装し、7億6900万円を脱税したとされています。活動実態が乏しい法人を金融機関からの融資の受け皿にし、各法人は1回の取引のみ使っていたということです。

 ところで気になるのは、この共謀した会計士が元妻であるということです。

 仮に当局の捜査を予感して協議離婚をし財産を移転した場合、差し押さえや追徴課税を回避することは可能なのでしょうか?

 国税徴収法39条は、滞納者(A)の国税につき滞納処分(差し押さえとかですね)を執行してもなお不足する場合、その不足の原因が法定納期限の1年前の日以後に、滞納者がその財産を無償や著しい低額の譲渡等をしたことにあるときは、その処分により利益を受けた者(B)(もらった人とかです)は、その受けた利益を限度としてその滞納国税の第二次納税義務を負う、と規定しています。

 要するにAの滞納国税を第三者であるBに払わせるという制度ですね。

 ところでこの規定は、その譲渡が「実質的にみてそれが必要かつ合理的な理由に基づくものである」か否か、そして「経済的合理性を欠きBに対して一方的に不相当な(過大な)利益を与えるものである」かどうかがポイントであり、過去の裁判でも色々と争われているようです。

 (1)合理的理由があるとして徴収法39条の適用がない(第二次納税義務がない)とした事例 →東京地裁昭和45年11月30日判決、同じく国税不服審判所昭和60年4月17日裁決

 (3)財産分与に一部不相当部分があるとして、一部は第二次納税義務があるとされた事例。→ 国税不服審判所平成7年3月30日裁決1055

 ちなみに、この元夫婦の「合理的な理由」は認められないでしょうし、また脱税時から年数も経っていますので延滞税も大きく、重加算税等も高額です。

2010年2月20日号(257号)

 このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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