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佐藤会計タックスニュース

vol.264 会社解散・清算の税法改正

 こんにちは。

 管総理のもと新しい政権が動き出しました。バブル崩壊後一向に上向かない経済環境は、ある意味では政治の停滞の産物でもあります。目先の勝ち負けばかりにこだわる政治家の姿勢は、「日本のため」ではなく「自分たちの生き残りのため」としか国民には映りません。長期的展望に立った舵取りをお願いしたいものです。

 さて、法人が解散する場合の税法の取り扱いが変更になりましたので、今回はその概要を書かせていただきます。

 会社の業績が芳しくなかったり、後継者が不在である場合に加え、会社分割などによって不採算部門を切り離したときなど、会社を「解散・清算」するケースが増えてきました。時代とともに役割を終えて退場していく姿は大変寂しいものがありますが、きちんと法的に整理できることは、ある意味素晴らしいことでもあります。

 会社を解散する場合、株主総会で解散決議を行い、解散の登記をし、当期首からその解散決議をした日までを1会計期間とみなして通常と同じように決算を組みます。また、解散の事実を「公告」するとともに「知れたる債権者」に「催告」をします。その後最低2カ月を過ぎて会社の「清算」が可能になります。

 仮にこの解散から清算に至る期間が1年以上にわたる場合は、解散日から1年経過日を決算日とみなして「清算事業年度の予納申告」をしなければなりません。その後「清算」が結了した場合は、「清算登記」とともに「清算申告」をして一連の作業が終了します。

 実はこの「清算申告」が従前は「財産法」、すなわち残余財産を処分した残りがあれば課税が発生し、なければ課税されないという制度でした。つまり解散申告までは収益や費用を計算するのですが、いったん解散してしまえば、解散後に資産を売り払っても「損益の認識」はなかったのです。

 今回の税法改正で、この「清算申告」を損益法で行うことが決まりました。さらに「清算事業年度の予納申告」も同様の扱いとなりました。これは「清算」するためのすべての活動が、通常の事業活動と同じ扱いを受けることを意味します。従ってたとえば解散に至るまでに多額の役員借入金が発生していた場合には、「債務免除益」により納税が発生する可能性がありますし、資産売却損益も認識されます。

 今回の改正で、平成22年度9月30日までに解散決議を行えば「旧法」、平成22年度10月1日以後に解散決議を行えば「新法」が適用されます。解散する予定がある場合、どちらが有利になるのかを事前に見極めておく必要があります。

 シミュレーションをして解散の時期を決めることになります。

2010年6月5日号(264号)

 このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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