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佐藤会計タックスニュース

vol.265 帳簿及び請求書等の保存義務

 こんにちは。

 いよいよ参議院選挙突入ですね。消費税10%という話も出てきておりますが、国の財政破たんがそう遠くない将来に起こりうることを考えれば、やむを得ない選択とも思えます。経費支出の削減が先だという意見もあり、それももっともなことではありますが、各党が合意をすることなく議論を重ねているうちに時は経ち、雪だるま式に借金は膨らんでしまいます。国民みんながなんとなく日本は破産しないと考えているとしたら、ぬるま湯経営で行き詰る中小企業と全く同じ状況と言えます。時間は待ってくれません。いち早い対応が望まれると思うのですが、皆様はどうお考えですか?

 さて、今回は「帳簿及び請求書等の保存義務」について書かせていただきます。

 まず消費税では、消費税法30条7項において、課税仕入れに係る帳簿及び請求書等の保存がない場合には、その保存がない課税仕入れに係る仕入税額控除を適用しないと定めています。

 ここで言う「保存」とは、事業者が、消費税法の定めるとおりに帳簿又は請求書等を整理し保存することであり、たとえば税務調査において、帳簿及び請求書等を提示しなかったりすると「帳簿及び請求書等の保存をしない場合」に該当するとされ、その結果仕入税額控除が適用されないということになってしまいます。保存と提示がなければ売上に係る消費税が丸々納税額となってしまうということですね。

 一方電子帳簿保存法の改正により国税関係書類のうち納品書、請求書等についていわゆるスキャナ保存が認められました。会社法では「株式会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない。」とされており、「適時性」が要求されることとなったのですが、この「適時性」について電子帳簿保存法施行規則3条5項イにおいては、記録事項の入力は、「その作成又は受領後、速やかに行うこと」、又は、同項ロにおいて、「その業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに行うこと」とされています。

 さらに国税庁の取扱通達では、ここにいう「速やかに行うこと」の意義につき、1週間以内を予定し、また、「業務の処理に係る通常の期間」については、最長1か月を予定するとしています。

 会社を経営していくうえでの証拠書類は色々ありますが、特に帳簿及び請求書等が「速やかに」作成されたものであることを条件に、強い証拠能力が与えられたわけです。自ら作成する証拠書類については「適時性」を念頭に置き、しっかりした内部牽制制度の確立と対外的な証拠能力の向上を図りたいものです。

2010年6月20日号(265号)

 このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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