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佐藤会計タックスニュース

vol.273 上場株式の譲渡の際の「みなし取得費の特例」の廃止

 こんにちは。

 円高が進んでいますね。すでに経済大国ではなくなった我が経済中国(私の母校の教授がおっしゃっていた言い方です。いい得て妙ですね。)日本は、この円高でじわじわと体力を奪われています。アジア各国の競争力上昇や国内の少子高齢化、かつ若者の内向き志向など、日本の地盤沈下はさらに進むことと思われます。個人であれば「清く、貧しく、美しく」はあるかもしれませんが、国の経済力がなければ中国やアメリカに蹂躙され続けるわけで、やはり経済力は必要ですよね。

 さて、今年の12月31日をもって上場株式の「みなし取得費の特例」が廃止されますので、簡単にご紹介したいと存じます。

 上場株式を売却する場合、売却額から控除するその株式の取得費等はどのように計算するのでしょうか?

 まず譲渡所得の金額の計算上控除する資産の取得費は、原則として、「その資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額の合計額」とされています。この場合「資産の取得に要した金額」とは、その資産の取得のために支出した実費(付随費用を含む)を言います。

 ところで株式等の譲渡をした場合には、事務負担を軽減し、株式譲渡益の円滑な申告を図るため、この「資産の取得に要した金額」について特例があります。

  1. まず概算取得費(譲渡収入のたった5%)控除の適用を認める。
  2. 平成13年9月30日以前から保有していた上場株式等を、平成15年1月1日から平成22年12月31日までの間に譲渡し、その譲渡益を確定申告する場合には、「実際の取得価額」と「みなし取得費(その上場株式の平成13年10月1日の価額×80%)」を比較し、その有利な方をその取得費として控除することを認める。

 このみなし取得費の特例が、今年の12月31日限り廃止される予定なので、平成13年10月の株式市況によっては、年内に売却した方が良いケースもありうるわけです。

 なお、この取得費の具体的な確認方法としては、

  1. 取引報告書又は取引残高報告署等により確認する方法
  2. 顧客勘定元帳により確認してもらう方法
  3. 日記帳、預金通帳等の手控えにより確認する方法
  4. 名義書換日を証する書類から取得時期を把握し、市場価額のデータを基に取得価額を解明する方法、

 などがあるようですが、みなし取得費の対象となるかや申告方法など、とりあえず税務署ではなく取引のある証券会社に聞いてみるのが確実かと存じます。

 国税庁や証券会社では、今盛んにこの「みなし取得費の特例の廃止」をパンフレットなどでアナウンスしておりますので、取り寄せてみるのも良いかもしれません。

2010年10月20日号(273号)

 文中、1. 2. 3. 4. の部分の原文は、それぞれ○付きの数字です。

 このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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