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佐藤会計タックスニュース

vol.269 事前確定届出給与

 こんにちは。

 毎日暑いですね。今日くらいの温度ですとかえって涼しく感じます。早く秋が来るといいですね。

 さて、今回は法人税の「事前確定届出給与」について書かせていただきます。

 ご存知のように、法人の役員報酬が損金として認められる条件は「定期同額給与」、すなわち1年間を通じて原則同額であることです。また支給時期が1カ月以下の一定の期間ごとという条件も満たす必要があります。つまり年払いとか2か月に1回とかの支給は(以前は認められましたが)認められず、最低でも毎月支給しなければなりません。

 ところで損金として認められる役員給与には、他に「利益連動給与」と「事前確定届出給与」とがあります。前者の「利益連動給与」は同族会社には認められないとか、算定方法が有価証券報告書に記載される利益を指標とすることなど、いわゆる大企業向きで中小企業には適用されません。では後者の「事前確定届出給与」にはどんな条件が付くのでしょうか?

 要件としては、まず支給時期、支給金額をあらかじめ決めておき、その内容を期限までに事前に税務署長に提出することが挙げられます。たとえば毎月の役員報酬は100万円、8月10日と12月10日にそれぞれ150万円を別途支給するといった内容を提出するとします。この場合その提出期限は[1]その事前確定届出給与の支給時期、支給金額を決議した株主総会等の日(その日が支給対象役員の職務執行の開始日より後の場合は、職務執行開始日)から1カ月を経過する日、[2]期首から4カ月を経過する日、のいずれか早い日までとなります。ちなみに「職務執行の開始日」とは、たとえば定時株主総会において役員に選任され、その日に就任した人や、定時株主総会の開催日に現に役員であった人は、その定時株主総会の開催日が職務執行の開始日となります。なんかややこしい表現ですよね。

 この事前確定届出給与の怖いところは、届け出た内容通りに実際に役員給与を支給しなければならないところです。上記のように仮に8月10日と12月10日にそれぞれ150万円を支給すると届け出たにも関わらず、たとえば8月は資金繰りがつかず100万円、12月は資金に余裕があり200万円を支給した場合には、それぞれ全額が損金とは認められなくなります。つまり少なく払う場合でも駄目なんですね。減額して支給しても損金になる条件は、[1]地位の変更(社長から平取締役になったとか)か[2]著しい業績悪化(一時的な資金繰りショートや予算未達成などは認められず、文字通り事業継続に赤信号がつくような業績悪化です)に限られ、一定期日までにその変更の内容を税務署長に提出することとなっています。来期の業績の予測をしっかり立てることが大切ですね。

2010年8月20日号(269号)

 文中、[1]、[2] の部分の原文は、それぞれ○付きの数字です。

 このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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