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佐藤会計タックスニュース

vol.271 30万円未満の資本的支出は経費で落とせるかどうか

 こんにちは。

 ここ数日やっと秋めいてきましたね(今日は暑いですが)。今晩から明日にかけて雨が降り、その後は一気に秋モードになるようです。猛暑で疲れた体を休めましょう。

 さて、今回は「30万円未満の資本的支出は経費で落とせるかどうか」について書かせていただきます。これは税法的に言うと「中小企業者等の少額減価償却資産の取得等と資本的支出の関係」ということになるのですが、まず「中小企業者等の少額減価償却資産の取得等」とは、30万円未満の固定資産の取得なら年間300万円までは経費で落とせますよ、という内容のものです。

 次に資本的支出とは、たとえば工場の機械を50万円かけて修繕し、その結果機械の能力が増強したり、耐用年数が伸びて長く使えるようになったりした場合は、その「修繕費」は経費ではなく新たに固定資産を「取得」したものとして減価償却の対象になる(1回で経費に落とせない)というものです。

【質問】

 資本的支出は、それを行った減価償却資産と種類及び耐用年数を同じくする減価償却資産を新たに取得したものとされていますので、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例を適用できると思いますが、いかがでしょうか。

【回答】

 資本的支出の金額でその減価償却資産の取得価額とされるものについて、この(経費で落とせるという)特例制度の「取得」等に当たるかどうかが論点となります。

 結論としては、法人が行った資本的支出については、取得価額を区分する特例である法人税法施行令の《資本的支出の取得価額の特例》の規定の適用を受けて新たに取得したものとされるものであっても、法人の既に有する減価償却資産につき改良、改造等のために行った支出であることから、原則として、《中小企業等の少額減価償却資産の取得価額の特例》に規定する「取得」等には該当しないとされています。

 ただし、資本的支出の内容が、規模の拡張である場合や単独資産としての機能の付加である場合、例えば、ソフトウエアのバージョンアップを行った場合であって、既存の機能の強化・拡充にとどまらず、それ自体機能的独立性が高い新機能を追加した場合など、実質的に新たな資産を取得したと認められる場合には、その資産について、例外的に中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の適用が認められることになると考えられます。 このあたりの判断には難しさが付きまといますが、税務当局に対して「新たな資産を取得したもの」と主張するためには、(新たな資産の取得であることを証明する)証拠書類を準備して、しっかり保管しておく必要があります。

2010年9月20日号(271号)

 このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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