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佐藤会計タックスニュース

vol.259 会社分割の概要

 こんにちは。

 都内でも桜が開花し始めたというニュースが流れました。満開になるのは例年通り4月上旬のようですが、春は駆け足でやってきます。仕事ばかりでなく、ゆっくりと花見でもしてみたいものですね。

 さて、今回は「会社分割の概要」について書かせていただきます。

 「会社分割」とは文字通り会社を分割して2つに分けることを言います。たとえば一つの会社(甲社とします)でA部門とB部門がある場合に、B部門だけを別の乙社に分割すると、もとの甲社にはA部門だけが残ります。分割する先の乙社を新しく設立して行う場合は「新設分割」、乙社が以前から存在していた会社であれば「吸収分割」、また分割に伴い新株式を発行して割り当てるのですが、割当先を甲社にすると「分社型分割」、既存の(甲乙それぞれの)株主にすると「分割型分割」となります。

 さらにいわゆる「税制適格」であれば不動産の移転が帳簿価格で行われ、「税制非適格」であれば不動産の移転は「時価」で行われますので、この「税制適格」と「税制非適格」を会社分割の際に使い分けることによって不動産の含み損や含み益を顕在化させることも可能になります。

 このように「会社分割」は、先の会社法の改正もあって、さまざまな企業再編の切り札とも言える立場に浮上してまいりました。特に不採算部門を切り離したいとか、後継者が複数いる場合に分割して事業承継させたいとかいう場合に有効と考えられております。

 ところで「M&A」とこの「会社分割」とはどこが違うのでしょうか?

 「M&A」は会社丸ごととか一部の事業部門の「売買」ですが、「会社分割」はいわば会社の組織変更となります。従って「会社分割」においてはM&Aなどの通常の売買取引とは異なり、不動産所有権移転に係る登録免許税は千分の8(売買は千分の10)、不動産取得税は0(売買の場合は原則4%)、建物所有権移転の消費税は課税対象外(売買の場合は建物売却価額の5%)と、大変有利な取り扱いとなっています。

 注意すべき点は、税理士や弁護士、司法書士などの専門家とチームを組み、しっかりとした工程表にのっとってそれぞれの法的条件をクリアしながら着実に進めていくことです。また不採算部門の切り離しを目的とする場合は必ず黒字部門があり、切り離し後も黒字を維持できることも大切です。時間と費用をかけて会社分割をしたが新会社も結局赤字のままだった、では無駄になってしまいますので。

2010年3月20日号(259号)

 このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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